蚯蚓鳴く遠く幼き夜の径  萬之

こおろぎよ轆轤の音に合わせ鳴く  萬之

名月よ来て見て見てと妻の声  萬之

ちちろ虫夜更けて眩暈おさまりぬ  真弓

我もまた羽休めたし赤とんぼ  真弓

台風過ぎ真鯛とどきぬ誕生日  真弓

彼岸花誰ぞ支柱を立ててあり  洋子

大人びた電話の孫や敬老日  洋子

線香の煙まっすぐ涼新た  かほり

ワクチンに高熱の子や虫時雨  かほり

抗がん剤受け冷たき腕白露の日  かほり

撫子や犬の睫毛に白混ざり  圭子

コロナ禍に潰されし夢夏の海  圭子写真は秋海棠 【撮影:栁橋脳神経外科 総師長】